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アルバイトの落とし穴

【こんな条件には要注意!】
空前の人手不足となった2023年ですが、高校生になってはじめてアルバイトをはじめた人も多いでしょう。アルバイトも正式な労働者であり、労働基準法によって保護されています。自分の身を守るために労働基準法の内容を知っておくとともに、犯罪に利用される「闇バイト」のやり口についても知っておきませんか?

【まずは労働条件を確認しよう】
アルバイトに採用された際、まず重要なのは、「労働条件通知書」を雇用元から渡してもらうことです。ここには、①アルバイトをする期間、②仕事の内容や働く場所、③働く時間や休日、④時給など、働くうえで重要な情報がすべて書かれています。
また、アルバイトであっても、1日6時間をこえて働く場合には、①6時間をこえて8時間まで働く場合には45分、②8時間をこえて働く場合には1時間の休憩をアルバイトに与えなければならないとされています。また、制服に着替えて働くことが義務づけられている職場では、私服から制服、制服から私服に着替える時間も労働時間に含まれています。要するに、アルバイトを雇っている人の指示に従う時間は、すべて労働時間として給与が発生することになっているのです。これは、2000年に最高裁判所で確定している重要な判例(三菱長崎造船所事件)に基づいて、国が認めていることです。もし、着替えや開店準備・閉店作業に給与が払われてないなら、それは明確な法律違反です。
また、よくある事例として、アルバイトの時給を15分単位で換算することで、15分未満の給料を雇用元がアルバイトに支払わないということがあります。しかし、これも労働基準法第24条にある、給料は1分単位で支払うという決まりに違反しています。このような扱いを受けたら、最寄りの労働基準監督署に連絡してください。そうすると、労働基準監督署から雇用元に査察が入って、雇用元はすべてのアルバイトに対して、これまで未払いであった1分単位の賃金を支払わねばならなくなります。雇用元が支払いを拒否した場合には、労働基準監督署から雇用元に罰金を支払うよう命じられます。

【不審な点があれば、すぐに関係機関に相談を!】
また、アルバイトでも、2週間前に雇用元に退職の申し入れをすれば、アルバイトをやめることが可能です。ただし、「怒られたから」などという理由でいきなり翌日から欠勤するなどといったことは、できるだけ避けるべきです。セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントを受けての欠勤は、雇用元にも重大な責任がありますが、突然の欠勤はアルバイト仲間にも大きな迷惑をかけてしまうからです。
もしもアルバイトで賃金未払いや、辞めさせてもらえないといった問題が起きたときには、各地の労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」(平日の午前8時半~午後5時15分)に連絡するか、「労働条件相談ほっとライン」(フリーダイヤル0120‒811‒610。月~金:午後5時~午後10時、土・日・祝日:午前9時~午後9時)に電話してください。経験豊富な相談員が、あなたの問題に寄り添って一緒に解決策を考えてくれるはずです。

【そんな甘いバイトはありません】
強盗事件や特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどをして現金をだまし取る犯罪。息子や孫のふりをして被害者に電話をしていたことからオレオレ詐欺とも言われる)などの「闇バイト」が後を絶ちません。2022年に詐欺罪で摘発された793人のうち10~20代が6割以上を占め、なかには中学生が逮捕された事例もありました。愛知県警による高校生1000人への調査によると、50人に1人が闇バイトに誘われた経験があると答えており、闇バイトに加わるハードルは低くなっています。
警察庁によると、闇バイトの応募から検挙・逮捕までの流れは、以下のような例が圧倒的であるといいます。(1)自分でSNSなどで「高額報酬」「即日入金」「書類を受け取るだけ」などと検索して闇バイトに応募、(2)犯行グループから連絡が入り、それ以降は匿名性の高いアプリ( TelegramやSignalなど)でやりとりをはじめ、(3)犯行グループに言われるままに自分の個人情報を送信して、(4)犯罪行為に加わることを拒否したら犯行グループが個人情報を基に脅迫してきて、結果的に闇バイトに加担してしまうのです。
どのような脅迫によって闇バイトに加担してしまうかというと、犯行グループが自宅に押しかけるという例が多いようです。しかし、脅迫に屈して闇バイトに手を出してしまうと、犯行グループにだまされて報酬をもらえなかったり、犯行グループにより警察に密告され逮捕されたりする例も多く、結局自分が犯行グループに使い捨てにされるだけに終わってしまいます。

【闇バイトに決して手を出すな】
中学生・高校生が闇バイトに手を出してしまうのは、遊ぶお金が欲しいという欲だけではなく、「子どもの貧困」に代表されるような現在の生活苦も影響しています。闇バイトに手を出して逮捕された人の1割は、生活苦によって高額な報酬が提示される闇バイトに加わったそうです。けれども、どれほど生活が苦しくとも、闇バイトには決して手を出さないでください。あなたが犯行グループに送った個人情報がSNSなどにさらされると、それは「ネットタトゥー」として、生涯にわたってあなたの就職や生活に影を落としてしまうのです。
もしも闇バイトに引っかかってしまったら、警察相談ダイヤル#9110、あるいはもよりの警察署に相談してください。これからの長い人生を台無しにしないためにも、闇バイトから自分の身を守ってください。

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